どこに立てば自分たちが活かされるのかっていうのをずっと考えていました

創業者であり現代表の上田は、起業後2年半、多額の借金、人間不信と不遇の連続の中、苦しい時代が続いたといいます。なんとかインターネットという光を掴むも、現在のサービスを思いつくまでにさらに2~3年間低空飛行の時期が続いていたんだとか。

佐藤:なんだか不思議な経緯ですね。本当に悶絶して、かっこよくじゃなく、苦労してもう寝ずに、倒れて…

上田:倒れてというか、もう会社に行くのが嫌になっちゃったんですよね。答えが出なくなっちゃって。未来が見えないもんだから。だから休もうと思って、2日くらい布団かぶって寝ていたんですよ。

上田:それで、夜中の1時くらいにふっと降りたんですよね。その前もちろん会社で考えてはいるんですよ。議論もするし、自分で分析もしてはいるんですけど、一向に答えは出てこなかったんですよね。これもダメだ、あれもダメだ、っていうふうに。

紆余曲折を経て、現在は年商68億円規模の会社の創業者である、上田。インターネットに出会ったのち、どのようにして現在のビジネスモデルを確立していったのでしょうか?

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(一部抜粋)

上田:ネットってすごいなって気づき始めたころですね。それで、当時の次のアクションとしては、他の売れそうなクライアントを増やそうっていうことで営業していこうとしました。当時みんなネットを始めていたので、ポンポン決まったんですけど、営業でパンクしたんですよ。売れたらデリバリーして仕入れして発送して、ここで一気にパンクしちゃったんですね。

上田:あとは交渉の構造的障害というか、ベンダー(※1)が増えると競争も増えるので、商品が増えて売り上げは増えるけど、粗利が半分とかになって、利益率は落ちていくんですよね。

上田:年商は5億まで行ったんですけど、利益自体は結局1年目より残っていなかったんですよ。ぎりぎり黒字みたいな感じで、ここでもまた低空飛行、それも2~3年繰り返しちゃって。システムもなく全部アナログなので、会社もてんやわんやで。

上田:バタバタ貧乏ってやつですね。財務的な問題、バタ貧の問題、営業マンをそろえていく問題…「そんな会社作りたいはずじゃなかった」とか思いながら2~3年悩んで。

佐藤:そうですよね。

上田:それで試行錯誤しているうちに、すべての社内にある問題を解決するための手段で思いついたのが、自社のネットサービスなんですよ。この業界を間近で見ていたので、全部知っていたんですよ、プレイヤーを。どこに立てば自分たちが活かされるのかっていうのをずっと考えていました。世の中にはないけれど、いけそうな気がしたんですよね、当時。

佐藤:それは、なんか急に降りてきたみたいな感じだったんですか?

上田:ずっと行動分析とか顧客分析とかをしてきたんですけど、2年間くらい生み出すことができなくて、会社の中でもこう暗く自分1人部屋に閉じこもって…っていう時期が続いたんです。

上田:もうアイディアが出ないからって、2日寝込んだんですよ。会社休んで。そうしたら明け方にふっと降りたんですよね。それでばっと起きて企画書を書いて。

上田:翌朝会社に行って「事業変えるよ」って言って、変わったんですよね。卸営業っていう問屋的な事業モデルから、インターネットサービス業に変えるっていうのがキーワードでした。

佐藤:要は、通販会社さんがこっちに発注してくるところをネット化するというような?そこに受発注業務がなくなるっていうことですかね。

上田:そうですね。通販会社さんに提案する商品はすべてストックしてしまおうと。ウェブ上にストックするのは商品写真やコピーじゃないですか。で、在庫は別のところにある。それを全部含め、素材をストックするサービスだから、通販素材.com通販素材.comっていいかもって。

上田:実は、当時アメリカからドロップシッピング(※2)を持ち込んでいた会社が出てきていて、VCさんも結構なお金を出していました。私なんかはドロップシッピングはまったく知らなかったので、通販素材.comを始めたら他社さんがドロップシッピングを始めていた、みたいな感じだったんですよ。

佐藤:それ俺が考えたやつじゃん!みたいな感じですか?(笑)

上田:あれ?って思いました(笑)。当時ネットについてよく知らなかったので、梅田望夫さんのウェブ2.0っていう本で勉強したなかでドロップシッピングについて知って、じゃあブームに乗って自社のこともそう言っちゃおうと思って。その当時厳密にはドロップシッピングだとは思っていなかったし、今も思っていないんですけどね。

上田:当時、競合と言われるところが資本金4億とか入れていたので、ここ広告使うぞと。その広告の下にそっと入っておけば集まるんじゃないか…っていうのが最初でしたね。それでシステムを最初に作って。

佐藤:それはじゃあもう、大前健一さんの本とかでもなく、ご自身のなかで考えて?

上田:現場現実で、業界のこととか具体的なリアルを思い浮かべながら、業務そのものの棚卸などを白板使いながらこう考えていましたね。書いては消し書いては消し…って。

※1 ベンダー:製品やサービスを買い手・利用者に対して直に販売する事業者のことを指す。自らがそのプロダクトを開発・製造しているとは限らない。

※2 ドロップシッピング:ネットショップで注文が入った時点で、それをメーカーや卸売り業者から直送させるネットショップの運営方法の一形態。


《対談者プロフィール》

佐藤孝治

株式会社ジョブウェブ 代表取締役会長
1972年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。就職活動後、大学4年生の96年10月ジョブウェブを創設。97年7月アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。99年10月ジョブウェブを法人化し代表取締役社長就任。以後、学生の就職支援と企業の採用支援を通じて、 学生と企業の本音コミュニケーションをサポートしている。2013年7月より代表取締役会長に就任。
著書に「廃止論(PHP出版)」「内定の原則(英治出版)」等。
公益財団法人日本ユースリーダー協会 理事
一般社団法人アスバシ教育基金 理事

上田敬太郎

株式会社コスパクリエーション 代表取締役
新卒で大手通販企業に入社。その後、2001年に理想の組織づくりを目指して、 株式会社コスパクリエーションを創業。『通販素材.com』を立ち上げ、ネット通販の供給側に在庫リスクゼロで販売ができる、BtoBtoCの事業モデルを構築した。常日頃から本を読むことが好きで、その幅はとてつもなく広く、ビジネス書だけでなく、哲学、音楽、芸術、歴史に精通しているため、質問に対して返答がないケースは稀。しかし、高校まではピッチャーとして甲子園を目指したり、大学ではボート部に所属していたりと体育会系でもある。