上田が目指す、理想の組織。その根底にある哲学とは?

創業者であり、現代表の上田が20代から追い求め続けた理想の組織。

そこには、戦略論だけに留まらない、組織に対する強い想いや哲学がありました。

上田:「経営学の中ではミッション・ビジョンが大事だというのは教えるけど、それ(ミッション・ビジョン)をどう形作って体系化して、本当に意味のあるものにするのかっていう方法論って、経営学では誰も言っていないじゃないですか。」

佐藤:「ええ。大事だ、としか言っていないですよね。」

上田:「それを私は、自分の組織のことを考えた時に、最大の課題だと思ったんですね。経営ってこの指とまれ!ってことじゃないですか。それで、それ(理念、ビジョン)に対して自分が100%の確証を持ちたくて。論理的に煮詰めていく方法ってなんだろうって考えた時に、学問的、哲学的思想だったんですよね。ミッション・ビジョンを掘るための思考を進める道具を、自分の中に埋め込みたいんですよね。」

現在は年商68億円規模の会社の創業者である、上田。

20代から今もなお進化し続けている、上田のいう「理想の組織」とは?

[再生時間16:32]

(一部抜粋)

佐藤:歴史とか哲学とかも詳しいそうで、いつごろからヘーゲル(※1)とかを読むようになったんですか?

上田:思想史とか世界史とか社会科学的なものは、創業してから3年間くらいたってからですかね。
混乱期の時に、自分で理解できなかったんですよね。なんでこんな思いをしなければならないんだっていう。自分の中でぐるぐるしてしまったんですけど、なんか違うなと思った時期があって。謙虚じゃないなと。
散々やって自分の中で苦しくて色々考えたときに、事業の法則、社会の法則にどんどん興味を持つようになって。なんでこういう仕組みになっているんだろう。世の中おかしくないか?という問題意識が芽生えてきましたね。社会学、心理学、思想史、世界史、政治学、経済学…その中で経営、組織開発にリアルに活かせるものを探っていった時に、学問としての哲学っていうのは、ど真ん中で使えるな、っていうのに気づいてきたっていう感じですね。

佐藤:そこを探求していくと、これまでの自分がやってきたビジネスの中で、あの時の自分がやってきたことはこうだったっていうのが見えたりすることとかあるんですか?

上田:そうですね。すごくありますね。
ヘーゲル弁証法っていうものの中で1番重なっている概念って「イノベーション」のことだと思っていて。イノベーションっていうのを、概念の世界でやっているのがヘーゲルだから、哲学とか思想史、概念だけの純粋科学の世界のなかで、やっているのがヘーゲルの哲学なんですよね。
アウフヘーベン(※2)と言われるものなんですけど、それがリアルの世界ではイノベーションなんですよね。

佐藤:アウフヘーベンはイノベーション?

上田:経済でいうとシュンペーターだし、イノベーションという概念は。要は生成発展するっていうのが世の道理だっていうのがヘーゲル哲学なんですよね。

佐藤:なるほど。松下幸之助さんもそういう話をしていますよね。

上田:まさにそうですね。経営者で稲盛さん(※3)とかも含めて、皆さんが辿り着くものが仏教から何から入るかかもしれないんですが、私はヘーゲルだったんですよね。ヘーゲルというか、哲学的真理を知ってみたかったというか。それが経営に使えるなと。組織人と知識人という概念があって、ドラッカーなんかも「組織人と知識人の乖離がしすぎているじゃないか、そこの融合が大事なんだ」なんてことを言っているかもしれませんが、私もそういうのはずっと思っていたんです。
MBA的なものってやるじゃないですか、創業するとどうしても。そういうときに経営学をみると、浅い学問じゃないですか、歴史的に。その背景には経済学があって認知心理学がある中で、私の感覚の中では、哲学がど真ん中で関わっているなと思ったんですよね。

佐藤:(たとえばマックスウェーバーのいう)プロテスタンティズムって、資本主義が生まれてきた源泉がそこにある、っていうような話じゃないですか。日本の場合は村八分が怖いからルール守るというか。でもキリスト教の世界では契約に基づいてルールを守るじゃないですか。だから、日本人とアメリカ人の商談がややこしくなるとかっていうのも分かるし、だから色んなことが役に立つっていうのは分かるんですが、(そういう物事の背景に関して)上田社長の役立て方が半端じゃないっていう。
※1 ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770年8月27日 – 1831年11月14日)は、ドイツの哲学者。ドイツ観念論を代表する思想家。優れた論理性から現代の哲学研究も含め、後世にも多大な影響を与えた。観念論哲学及び弁証法的論理学における業績のほか、近代国家の理論的基礎付けなど政治哲学における業績も有名である。

※2 あるものを、そのまま捉えることなく、矛盾する何かと両立させるためにはどうしたらよいかを考え、実現しようと試行錯誤を繰り返すこと。割り切らないこと。止揚。揚棄。

※3 稲盛 和夫(いなもり かずお )は、日本の実業家。京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者。公益財団法人 稲盛財団理事長。日本航空名誉会長。


《対談者プロフィール》

佐藤孝治

株式会社ジョブウェブ 代表取締役会長
1972年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。就職活動後、大学4年生の96年10月ジョブウェブを創設。97年7月アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。99年10月ジョブウェブを法人化し代表取締役社長就任。以後、学生の就職支援と企業の採用支援を通じて、 学生と企業の本音コミュニケーションをサポートしている。2013年7月より代表取締役会長に就任。
著書に「廃止論(PHP出版)」「内定の原則(英治出版)」等。
公益財団法人日本ユースリーダー協会 理事
一般社団法人アスバシ教育基金 理事

上田敬太郎

株式会社コスパクリエーション 代表取締役
新卒で大手通販企業に入社。その後、2001年に理想の組織づくりを目指して、 株式会社コスパクリエーションを創業。『通販素材.com』を立ち上げ、ネット通販の供給側に在庫リスクゼロで販売ができる、BtoBtoCの事業モデルを構築した。常日頃から本を読むことが好きで、その幅はとてつもなく広く、ビジネス書だけでなく、哲学、音楽、芸術、歴史に精通しているため、質問に対して返答がないケースは稀。しかし、高校まではピッチャーとして甲子園を目指したり、大学ではボート部に所属していたりと体育会系でもある。