上田社長は、従業員って、働くのが「好きだと思いますか?嫌いだと思いますか?」

森田:今日は第1回目ですが、人間について、哲学的でなく、組織の中で働く人たちを見ての、社長の考えや一般論、小生の考え方について話ができたらと思います。自営業者や創業者としての個人ではなく、何人かの仲間と一緒に目的(ミッション)を現実にするリーダー(経営者)としての考えを聞かせてください。

上田:それは、会社のトップが持っている“人間観によってつくられる組織”というのを研究したような理論があるということですか?

森田:そうです。経営者・管理者が、社員や部下をどう見るかによってマネジメントのやり方が違ってきます。C.アージリスは部下を未熟者・子ども扱いをしているところに問題があると指摘しました。たとえば、社長は、よちよち歩きの子どもが水たまりの前にいて、このまま歩けば水の中に入ってしまうとしたら、どうしますか?

上田:手を差し伸べてしまいますかね。

森田:おそらく、そうするでしょう。大抵の人は、子どもを抱きかかえて、水たまりを飛び越えさせる。しかし、大人が水たまりの前にいるときに抱きかかえて飛び越させようとはしないでしょう。つまり、相手を見て行動を変えているのです。ここでは、相手を見るということが重要なのです。場に合わせて行動を変えるということではありません。

森田:人間と仕事の関係に対する視点はいろいろあります。今回は、“人間とはこう言うものだ”と言う価値観、すなわち「組織のなかの人間観」についての質問をいくつか用意しました。

[再生時間2:18]

<動画ダイジェスト>
森田:社長は、従業員って、働くのが好きだと思いますか? 嫌いだと思いますか?

上田:好きだと思いますね。私はそういう前提で組織をつくっています。

森田:そういう考え方もあります。もし仕事が嫌いだったら、仕事をさせなきゃいけない。させるためにはどうしたらよいかを考えなきゃいけないんです。それでひとつの管理体系ができる。

上田社長:なるほど。

森田:それが普通の企業でやっている、人間は仕事が嫌いなんだ、仕事をさせるためには仕組みをつくらなければいけないという伝統的な管理(マネジメント)です。それでずっとやってきて、今も大半の企業はそれでやっています。

森田:今、社長はそうではない、それとは違うという考えだったので、他の企業のやり方とは同じようなマネジメントの仕組みになりません。絶対に。

上田:なるほど。わかりますね。

森田:今は「仕事が好きか、嫌いか」という視点でみました。こういう視点がいくつかあります。視点が分かれると、それによって組織のつくり方も違ってくるのです。

<編集メモ>
「労働観」、「組織観」、「人間観」は、国によっても企業によっても人によってもさまざま。コスパクリエーションが理想とする組織づくりは、上田社長の人間観が大きく影響しているはず。組織づくりの前提となる人間観の視点に対する森田先生の質問が続きます。


《対談者プロフィール》

上田敬太郎

株式会社コスパクリエーション 代表取締役
新卒で大手通販企業に入社後、2001年に理想の組織創りを目指すために、 株式会社コスパクリエーションを創業。『通販素材.com』を立ち上げ、ネット通販の供給側に在庫リスクゼロで販売ができる、ドロップシッピングの事業モデルを構築した。常日頃から本を読むことが好きで、その幅はとてつもなく広く、ビジネス書だけでなく、哲学、音楽、芸術、歴史に精通しているため、質問に対して返答がないケースは稀。しかし、高校まではピッチャー5番、副キャプテンいう典型的な高校球児として甲子園を目指したり、大学ではボート部に所属していたりと体育会系でもある。

森田一壽

株式会社コスパクリエーション 顧問
産業・組織心理学者。東京大学文学部心理学科卒業後、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。帰国後は複数の大学で教鞭をとりながら、産業・組織心理学会理事、人材育成学会会長(現顧問)なども歴任。
2014年に目白大学大学院特任教授を退官。現在は企業の顧問を務めるかたわら、組織開発研究所を設立し、組織診断やストレスチェック等のツール開発などにも従事。著書は 「経営の行動科学」(福村出版)、「人材活用フォーマット」(法令総合出版)、「医療福祉マネジメントの実践」(日本図書刊行会) など。