「人は言われたことをやる方が楽か、自分で考えてやる方が楽か?」

会社のトップが持つ“人間観によってつくられる組織”を研究した理論に基づく上田社長への質問。

[再生時間4:27]

森田:次の質問です。
仕事は、言われたことをやる方が楽なのか、自分で考えてやる方が楽なのか、社長はどう思いますか? これも人間観のひとつの視点になっています。

上田:それはもう後者(自分で考えてやる方が楽)に決まっているとしか言いようがない(笑)

森田:だけど、実際にはそうじゃない。
「言われたことをやっている方が楽だよ」という人はたくさんいます。特に現場はそうですよね。伝統的なマネジメント理論は、みんな言われた方が楽というものです。命令して、指示をして、与えた方がいいというマネジメントをつくってしまう。多くの会社がそうです。

上田:実際、15年会社をやってきて迷ってきたことはあります。5年前に人事制度を入れる前に考えていたんですが、私は仕事を自律的にやって、この指止まれでやるのが組織だと思っていて、自発的に集まってくる組織ではないとダメだという考えでした。

上田:しかし、実際はそうでもないんだと。与えられる方が楽だという人を軸にして組織とか制度を作った方がいいよ、と外から言われることが多かったんです。現場の人間に財務のことを教えたって意味がないよ、とか言われて、それに何とか踏ん張ってきた歴史があります。

上田:私自身、絶対にこっち側(自律的に仕事をする)で組織をつくろうとして、多少業績が横ばいになっても、外から言われることに対して踏ん張ってきました。そうじゃないとこの会社がある意味がない、とずっと思っていて。今も100%ではないですが、人事制度を入れて、少しずつでもこっち側になってきていることに満足しているというのはあります。

森田:どっちに移られたんですか?

上田:人事制度を入れてからは、自律的に仕事をする方に。制度もそうですが、組織の文化も自律的な方でつくっていくんだと動いてきて、少しこちらに移ってき始めているのを感じます。

森田:いいことですね。

上田:思いとしては、こちら側(自律的な組織)をつくらないのであれば、意味がない。そうでなければやる気もないという感じです。

森田:もう一方は、ある意味、形をつくればいいのです。だから誰でもできる、とも言えます。だからアメリカはトップが簡単に変わるんですよ。平気で、競合会社の社長が他の競合会社の社長に代わってしまう。

上田:なるほど。一面では、もう一方もあながち変な理論ではないってことですね。


<編集メモ>
「人は自分で考えて働く方が楽、そして楽しい」という前提で、コスパクリエーションの人事制度はつくられています。その中心にあるのがMBO(Management by objectives and self-control)です。自ら課題を設定して、実行し、それを振り返る。一人ひとりが仮説検証を回しながら、成長していくことを前提にした評価制度となっています。
人事制度の枠組みはこちら


《対談者プロフィール》

上田敬太郎

株式会社コスパクリエーション 代表取締役
新卒で大手通販企業に入社後、2001年に理想の組織創りを目指すために、 株式会社コスパクリエーションを創業。『通販素材.com』を立ち上げ、ネット通販の供給側に在庫リスクゼロで販売ができる、ドロップシッピングの事業モデルを構築した。常日頃から本を読むことが好きで、その幅はとてつもなく広く、ビジネス書だけでなく、哲学、音楽、芸術、歴史に精通しているため、質問に対して返答がないケースは稀。しかし、高校まではピッチャー5番、副キャプテンいう典型的な高校球児として甲子園を目指したり、大学ではボート部に所属していたりと体育会系でもある。

森田一壽

株式会社コスパクリエーション 顧問
産業・組織心理学者。東京大学文学部心理学科卒業後、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。帰国後は複数の大学で教鞭をとりながら、産業・組織心理学会理事、人材育成学会会長(現顧問)なども歴任。
2014年に目白大学大学院特任教授を退官。現在は企業の顧問を務めるかたわら、組織開発研究所を設立し、組織診断やストレスチェック等のツール開発などにも従事。著書は 「経営の行動科学」(福村出版)、「人材活用フォーマット」(法令総合出版)、「医療福祉マネジメントの実践」(日本図書刊行会) など。